顧客管理には、取引のある顧客の属性(氏名や住所など顧客情報)を収集し、

 

企業側が管理および利用するというイメージがあります。

 

しかし、顧客の立場からすると、

 

管理されることを望んでいる人は少ないでしょう。

 

顧客管理という言葉を企業目線で見ると、

 

「収集した顧客情報」を「企業が有効活用する」ことです。

 

該当顧客が少人数であれば問題はないのですが、

 

ある程度の顧客数になると、

 

企業側は顧客のことがわからなくなってしまうのです。

 

地域に根ざした居酒屋のように常連客が大半であり、

 

店主が顧客ごとの情報を十分に把握しているのであれば、

 

極端な話し顧客管理をする必要などありません。

 

一方、小規模事業ながらも顧客が増えて来ると、

 

顧客情報など管理者が覚えることは困難となります。

 

そこで、管理者の脳に変わって、

 

コンピュータシステムを活用することになる訳ですが、

 

それを導入するかどうかについては、

 

経営者の考え方によるところが大きいと思います。

 

同業者や競合企業がシステム導入しているからと言って、

 

無理に導入する必要はないのです。

 

コンピュータシステムの導入目的が曖昧の場合、

 

運用は上手くいかないし、期待した効果を得ることができません。

 

そこで、経営者は顧客管理システムを導入するにあたり、

 

システム導入の目的を明確にし、

 

また導入よって得られる結果を十分に考え、

 

慎重に判断するべきです。

 

ひと昔前までは、

 

メンバーズカードと連動した顧客管理システムにおいて、

 

「顧客の囲い込み」を目的とするケースが多かったように思います。

 

今は、

 

「同じ価値観や世界観のファンを集めて、

 

信頼関係の強いコミュニティをつくる」という目的に変わっています。

 

あなたの提供する商品やサービスが、

 

すべての人に好かれることは所詮無理なことですから、

 

「共感する人だけ集まってください!」という感覚で、

 

あなたのファン候補者を顧客管理システムで見つけ出すことが、

 

これからのシステム導入における大きな目的になるのではないかと思います。

 

この記事を書いた人

大久保 久明顧客管理・顧客資産運用アドバイザー/情報セキュリティ管理士
大学卒業後、コンピュータ専門商社でOA機器およびシステム販売、サプライ品販売、コンピュータ帳票の設計など携わる中で、カードを活用した顧客(会員)管理システムに出会う。業界30年以上のキャリアがある。現在は、「事業の利益改善には、顧客管理を通じて顧客との強固な信頼関係を構築することが最も重要である」との考えから、顧客資産の運用方法、さらに異業種とのアライアンスの推進など、経験に基づいたアドバイザーとして名古屋地区を中心に活動を続けている。また、事業の中に「なんらかの会員制を導入するべき」と提言し、導入方法などのアドバイスも行っている。「ポイントシステム(カード等)と連動した顧客管理の構築」、「個人情報保護管理体制の整備」など、情報セキュリティを含めた顧客管理に関する分野の専門家。最近では、事業目的や内容が近く、双方にメリットの感じられる企業や人同士を「つなげる」ためのコーディネート実績も多い。