カードと顧客管理
カードおよび顧客管理に関連した業界は、昔に比べると管理方法など大きく変わりました。以前は、囲い込みという意識が強く、カードをより多くの顧客に持たせて、全員一律の特典を与える方法でした。それが、カードを持っていない人との差別化になっていました。
今では、顧客を一定のカテゴリーに分類して、より細かく顧客対応していくイメージです。
以前の「囲い込み」という企業目線の考えから、「この顧客はどのようにすれば喜んでいただけるのか」という顧客目線の考えに大きく転換しています。
これからは、タブレットPCやスマートフォンの台頭で、業界が大きくかわることが予想されます。最新のモバイル端末など常に研究しながら、顧客管理とのかかわりを探っていければと考えています。
心掛けていること
クライアント様で起きている問題は、本当に様々です。しかし、一番は「利益の改善」・・・これにつきるかと思います。やはり、それなりの利益を確保しないと、事業を継続することはできません。
カードや顧客管理の専門家ということで、すぐさまカードや顧客管理ソフトの導入を薦める訳ではありません。売上や顧客数が不安定なところへ、いきなりシステム導入しても効果は見込めません。その前に、多くのやるべきことがあるはずです。(次の「事例2」をご覧ください)
そこで、最初に現状や事業内容・規模・ご予算などをヒアリングしながら、できることから始める「スモールスタート」をお勧めしています。お互い知恵を絞ることで、お金を大きくかけずに始めることは可能です。お気軽にお問合せください。
事例1
テーマ:「新ポイントカード」へ移行 対象先:大手温浴施設
問題点
- ポイント有効期限を設定していなかったので、ポイントが大量に貯まった顧客が相当数いた。
- ポイント交換は金額換算で、外部業者のカタログ商品から選ばせる方法のため、商品購入費用が発生していた。
- 未交換ポイントを金額換算したら、かなりの金額になっており企業負担の大きいことが判明した。 (この金額は企業にとって「負債」となる)
改善点
- 入浴券購入枚数に応じたポイント付与とし、ポイントカード(追記式)1枚ごとで完結するようにした。顧客には、満点特典とビンゴゲームの結果に応じた無料入浴券枚数をプレゼントした。(「ドリームビンゴカード」を採用) ※無料入浴券のため外部支払いが発生しない
- グループ店舗と共通ポイントカードにして、顧客がどの店舗を利用したかをカード上のマークで表記させた。利用頻度なども目視確認(ポイントマーク数)できるため、スタッフと顧客とのコミュニケーション・ツールとして利用価値が高まった。
- 旧カードの残ポイントに商品交換期限(1年間)を設けて、以降はポイント失効とした。経済産業省のガイドラインに沿って、カード会員への告知には充分配慮した。(店内ポスター掲示など)
総括
貯まったポイントを金額換算して「値引き対応」する場合は、事前に「引当金を計上する」などして、業績に大きな影響が出ないように注意しなければなりません。これが原因で、突然ポイント制度を止めたりする企業もあり社会問題化しています。経済産業省から、ポイント制度に関連した「ガイドライン」が発行されています。是非ご参考にしてください。
事例2
テーマ:顧客数の安定化 対象先:飲食店(レストランバー)
問題点
- 顧客数が減少し、売上維持が困難になった。このままでは、閉店するしかない(オーナー談)
改善点
- 週の前半(月・火・水)にイベントをどんどん開催した。 (ワインスクール、男女マッチング会、誕生月お祝い・・・など)
- 各テーブルの上などに、イベント予定スケジュール表を置いてスタッフが案内(精算時も配布)した。
- こだわりの1品を創作した。(トマト鍋、女性向スイーツなど)
総括
ここでは、すぐのカード導入を見送りました。まずは、顧客数の安定化など「土台づくり」からです。
週末は比較的お客様の入りがよかったので、特に週前半の集客を考えました。いつも何かイベントがあるお店と顧客に印象づけるため、3ヶ月間ほど徹底して実践しました。20~30代前半が顧客層であり、メニュー全体がヘルシー志向のため、女性客を狙った「こだわりの1品」で集客に臨みました。コンサル開始後、4ヶ月目あたりから売上が改善し、開始前と比べ約25%UPとなりました。
これからの課題としては、カードを活用した顧客管理システムを取り入れることで、ファン層へのコンタクトを徹底し、さらなる売上改善を目指すことです。
その他(関連した事業)
- 金融機関:社員証 ⇒ 人事管理システムとの連動
- スポーツクラブ:会員証 ⇒ 会員管理システム(運動レポートなど)との連動
- 専門店:メンバーズカード ⇒ 顧客管理システムとの連動
- データセンター:身分証 ⇒ 入退管理システムとの連動
- アミューズメント:会員証 ⇒ 会員管理システムとの連動
プロフィール
ベネフィット・ラボ 代表 大久保 久明(おおくぼ ひさあき)
顧客管理/顧客資産運用など「顧客管理を通じて事業所の利益改善につなげる専門家」
大学卒業後、コンピュータ専門商社でOA機器およびシステム販売、サプライ品販売、コンピュータ帳票の設計など携わる中で、カードを活用した顧客(会員)管理システムに出会う。
業界30年以上のキャリアがある。現在は、「事業の利益改善には、顧客管理を通じて顧客との強固な信頼関係を構築することが最も重要である」との考えから、顧客資産の運用方法、さらに異業種とのアライアンスの推進など、経験に基づいたアドバイザーとして名古屋地区を中心に活動を続けている。
また、事業の中に「なんらかの会員制を導入するべき」と提言し、導入方法などのアドバイスも行っている。「ポイントシステム(カード等)と連動した顧客管理の構築」、「個人情報保護管理体制の整備」など、情報セキュリティを含めた顧客管理に関する分野の専門家。
最近では、事業目的や内容が近く、双方にメリットの感じられる企業や人同士を「つなげる」ためのコーディネート実績も多い。