今回は、私が若い頃体験した「ある商談」で感じたことです。

30代前半ころの話しです。
その頃、私はOA機器販売のシステム営業として活動していました。ある人のご紹介で、「ファイリングシステム」の商談をさせていただくことになりました。

ファイリングシステムとは、「紙情報を光ディスクにスキャニング保存して、あとで画面を通じ原本確認できる」という、当時では非常に画期的なシステムでした。ご紹介先は、不動産業で図面や資料など書類を保存しておくことが導入目的でした。

デモも順調で、最高スペックでの注文をいただきました。注文書の捺印、買い取りを希望されたので、売買契約書まで締結しました。当時の社内ルールに沿った、完璧な商談だと思っていました。

ところが、相手先から入金予定日になって、代金が振り込まれないのです。経理担当者からの連絡を受け、私はすぐに先方担当者へ確認の電話をしました。担当者も気づいておらず、確認するとの返事・・・。

しばらくして、その担当者から電話があり、何か言い辛そうに話すのです。
「申し訳ないけど・・・。会社に来てくれる?社長が話したいって・・・」

不安を持ちながら、その会社へ伺ったところ、社長からひと言・・・
「このシステムを返品したい・・・」

理由を訊くと、あまり必要性を感じなくなったことと、挙句の果てには「何で注文したのだろう・・・」と言う始末。私は、開いた口が塞がらない状態でした。(そんなばかな・・・)

すぐに会社へ戻り、当時の上司へ報告して対策を検討しました。
後日、上司同行のもと、問題の社長に話しをしましたが、「システムを引き取って欲しい」の一点張り。何度も訪問しましたが、結局、代金の一部をお支払いいただいただけで、システム機器本体など引き上げることになりました。

結果、私の営業査定は下がり、賞与などにも影響を及ぼしました。また、後日知りましたが、先方の担当者も退職したそうです。(正確な理由は不明ですが・・・)
もう20年以上も前の出来事ですが、この一連については今でも鮮明に覚えています。

私としては、可能なことをしたはずなのに、結果として「正規な売上を計上することができなかった」事実があります。当時の私は納得がいかず、悶々とした日々を送っていました。ただ救いだったのは、上司がこの件に関して、何も言わなかったことです。(実は何度も同行してくれました)

「どうにもならない」こと・・・あります。これからも、たぶんあるでしょう。
当時の私は、「世の中本当にいろんな人がいる」と知りました。この体験は、自分にとって貴重な出来事で、当時の自分に神様がそっと教えてくれた「ギフト」だと思えてなりません。

この出来事以降、変な商談に出会うことがなくなりました。不思議です。

 

この記事を書いた人

大久保 久明顧客管理・顧客資産運用アドバイザー/情報セキュリティ管理士
大学卒業後、OA機器およびシステム販売、サプライ品販売、コンピュータ帳票の設計などに携わる中で、カードを活用した顧客(会員)管理システムの販売担当となる。
その後、カード後加工(エンボス、エンコードなど)の情報処理専門企業へ入社し、カードの総合的な知識を習得する。また、大手アミューズメント企業向会員管理の業務受託を通じて、プライバシーマークの取得・更新にもかかわった。(更新審査4回に立ち会う)
現在、ビジネスマッチングにも積極的にかかわり、多くの異業種コラボを実現している。顧客資産の運用アドバイスを中心にしながら、企業PR・商品やサービスPRなど販促活動も行っている。また、将来有望な人材に対して、セミナー開催や事業アドバイスなどの支援活動をライフワークとしている。