あるイタリア料理店でのお話しです。
シェフが本場で修行を終え、料理の味は本場の味を残しながら、日本人の味覚にも配慮したイタリア料理店。一方、日本人に馴染みのあるパスタやピザだけを提供している、シェフが本場修行の経験がないイタリア料理店。

 

料理の値段がほぼ同じであれば、普通なら消費者は前者のお店を選ぶはずです。でも、実際は後者のお店の方が繁盛しています。ではどうして、このような現象が生まれるのでしょうか。前者のお店では、料理の味に自信を持っていますので、オーナーは「一度体験していただければ良さを理解してもらえる」と考えています。

 

後者のお店では毎週イベントが開催され、ワイン会員へ入会すると、レアなワインが安価で飲むことができます。ワイン好きの人なら、たまらない魅力です。新しいワインなど入荷すると、その情報がワイン会員に向けて発信されます。お店のスタッフとも、いつもワイン談義で盛り上がります。

 

いかがでしょうか?
前者のお店では、本場で終業したシェフが料理を担当していることなど消費者に強くアピールしておらず、「一度体験していただくことで顧客獲得」を考えています。後者のお店では、イベントを通じて「来店のきっかけづくり」や「ワイン会員」など、「顧客とのつながりを意識した顧客獲得」を実践しています。

 

残念ながら、消費者はお店のことを「何も知らない」のです。
従って、お店としては「売りやこだわり」など情報発信し、「顧客とのつながりを常に考えた行動」をしないと来店には結びつきません。このあたりを理解していない経営者・・・非常に多いのが現状です。

 

極論ですが、あなたが提供する商人やサービスが他社並みだったとしても、顧客とのつながりを考えた顧客管理を実践している企業は、理想の利益を確保することができます。そのためにも、企業が「大切にすべき顧客」を明確にし、その顧客との信頼関係を構築することでビジネスは確実に成長していきます。

 

この記事を書いた人

大久保 久明顧客管理・顧客資産運用アドバイザー/情報セキュリティ管理士
大学卒業後、コンピュータ専門商社でOA機器およびシステム販売、サプライ品販売、コンピュータ帳票の設計など携わる中で、カードを活用した顧客(会員)管理システムに出会う。業界30年以上のキャリアがある。現在は、「事業の利益改善には、顧客管理を通じて顧客との強固な信頼関係を構築することが最も重要である」との考えから、顧客資産の運用方法、さらに異業種とのアライアンスの推進など、経験に基づいたアドバイザーとして名古屋地区を中心に活動を続けている。また、事業の中に「なんらかの会員制を導入するべき」と提言し、導入方法などのアドバイスも行っている。「ポイントシステム(カード等)と連動した顧客管理の構築」、「個人情報保護管理体制の整備」など、情報セキュリティを含めた顧客管理に関する分野の専門家。最近では、事業目的や内容が近く、双方にメリットの感じられる企業や人同士を「つなげる」ためのコーディネート実績も多い。