起業(新規事業)を考えている人の相談にかかわることがあります。

 

その人は、現在、ある工事業(下請け/個人)で生計を立てており、

 

収入金額を聞いたところ、派手なことをしない限り、家族を十分養える範囲でした。

 

相談は「今の仕事を辞めて、知人が経営する飲食店の権利を買いたい」という内容で、

 

その理由が、

 

「飲食店の売上(利益)金額を聞き、現行の収入金額より多い」と知ったからです。

 

本人は、「昔から飲食店を経営することが夢だった」という感じでなく、

 

今の仕事が身体を酷使するため、長く続けられないと思い、次の事業を考えていたようです。

 

我々サイドは、今後の本人の生活(幼児がいる)を考え、飲食業にこだわるなら、

 

フランチャイズという選択もあるなど、多額な借り入れまで考えている本人へ伝えました。

 

さらに、やっかいなこととして、「飲食店の権利を売りたい」とする現行オーナー側には、

 

「早く権利を売りたい!」との焦りも見られ、この構図を見る限り、

 

本件は非常に厳しい支援となりそうな印象を強く持ったのです。

 

現在の飲食店における損益計算書を見ましたが、細かいところで不備もあり、

 

数字上では一応利益が出ていたものの、この状態が長く続くかどうかの保障はありません。

 

また、飲食店の権利を買いたい本人が、そのあたりを十分理解しているとは思えず、

 

我々サイドは「大丈夫かな・・・」と、結局、この支援に関してはお断りしました。

 

よくある内容かも知れませんが、「スタート時点でつまずいている」典型的な例です。

 

この記事を書いた人

大久保 久明顧客管理・顧客資産運用アドバイザー/情報セキュリティ管理士
大学卒業後、コンピュータ専門商社でOA機器およびシステム販売、サプライ品販売、コンピュータ帳票の設計など携わる中で、カードを活用した顧客(会員)管理システムに出会う。業界30年以上のキャリアがある。現在は、「事業の利益改善には、顧客管理を通じて顧客との強固な信頼関係を構築することが最も重要である」との考えから、顧客資産の運用方法、さらに異業種とのアライアンスの推進など、経験に基づいたアドバイザーとして名古屋地区を中心に活動を続けている。また、事業の中に「なんらかの会員制を導入するべき」と提言し、導入方法などのアドバイスも行っている。「ポイントシステム(カード等)と連動した顧客管理の構築」、「個人情報保護管理体制の整備」など、情報セキュリティを含めた顧客管理に関する分野の専門家。最近では、事業目的や内容が近く、双方にメリットの感じられる企業や人同士を「つなげる」ためのコーディネート実績も多い。